野に居るべし

ほぼメモ帳

高校の頃のかすかな記憶

12月の高校からの帰り道。
土曜日の部活終わりの駅は、人がそこまで多くない。
この寒い季節に外を歩いている人もいなく、駐輪場に自転車を止めて定期を駅員さんに見せる。
男性の駅員さんの顔は覚えていない。
改札を抜けて左に曲がる。
10mほど歩いた後に、ホームの長椅子に座る。
プラスチックのような質感が寒い風によってより冷たさを感じさせてくれる。
座ると制服のズボンの生地の薄さを感じる。
ひんやりとお尻が冷える。
先ほど通ってきた改札の方から、駅員さんが歩いてくる。
私はスマホを見ている。
駅員さんが声をかけてくる。
はいこれ。
渡されたのは、自販機に売ってあるホットのドリンク。
缶を渡されたけれども、何の飲み物だったかは覚えていない。
ありがとうございますとは言ったと思う。
けれど、店員さんの顔は全く覚えていない。
ただ、10年ほど経った今でも、暖かい飲み物をもらったということだけは覚えている。
12月10日。
ここ数日は気温が20°cに達するほど暖かい。
少し厚手のパーカーなんかを着て外に出ると、歩いているうちに汗が出てくるほどだ。
もうすぐで寒い寒い冬の季節になると思う。
そのために私は、あの渡された缶の温かさを思い出すだろう。
私も、一度でいいからそういうことをやってみたい。