野に居るべし

ほぼメモ帳

空虚と重圧

オンラインの講義が始まった。

 

朝起きて準備した後、アパートの一室の中でそのまま受ける。

 

授業によってはカメラとマイクをつけて、途中発言が求められたりするものもある。

 

途中音が聞こえなくなったり、映像が途切れたり、そんな感じでうまくいったりいかなかったり。

 

ただこの状況もしばらくは当たり前になるのだろう。

 

当たり前にならざるを得ない。

 

実家から3日間くらいかけて車を運転して引っ越してきた。

 

それからまだ1ヶ月も経っていないし、今日から授業が始まったばかりだ。

 

誰とも関わることなく、全く知らない土地で、こうして画面越しのやりとりをする。

 

わざわざ学校に通学する必要がないし、授業の合間も教室を移動する代わりにアクセス先を変えるだけで

 

次の授業へ進める。

 

ものによっては、録画された授業を好きな時に見ていいというものもある。

 

 

空虚が押し寄せる。

 

シラバスを見る。

 

ここにきたくてこの1年間をなんとか乗り切ってきたはずなのに、いざ来てみるととても不安だし、空虚。

 

コロナウイルスの影響がなかったとしても同じだったかもしれない。

 

いろいろなものを捨ててきたと思う。

 

実家に気軽に戻ることもできない。

 

あんなにこの1年間嫌いで早く抜け出したいと思ったあの狭くて汚い家の匂いを嗅ぎたいと思ってしまう。

 

あんなに憎んだ親がテレビを眺めている姿を後ろからまた眺めてみたいとも思ってしまう。

 

高齢な親とは、もうこれから会えないかもしれない。

 

ここにきたら前に進める道が見えてくると思っていた。

 

見つけてやると思っていた。

 

まだ始まってもいないのに、重い霧で何も見えなくなった。